標準偏差とは:データのばらつきを測る基本の指標
平均点が同じ70点の2クラスでも、中身はまったく違うことがあります。一方は全員が70点前後、もう一方は30点から98点まで散らばっているかもしれません。平均はこの散らばりについて何も教えてくれませんが、標準偏差はそれを数値にします。標準偏差は分散(平均からの偏差の2乗の平均)の正の平方根で、各データが平均から典型的にどれくらい離れているかを、元のデータと同じ単位(点、cm、円、秒)で表します。
この計算ツールは、データ数・合計・平均・中央値・最頻値・最小値・最大値・範囲・四分位数・四分位範囲・分散と標準偏差(母集団の σ と不偏推定の s の両方)・変動係数・標準誤差といった記述統計を一度に求めます。数学Ⅰの「データの分析」を学ぶ高校生、統計学や心理学を学ぶ大学生、テスト結果を分析する先生、品質管理の担当者、研究者など、データを扱うすべての人に役立ちます。
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データを入力・貼り付け
「データ」欄に、カンマ・スペース・セミコロン・改行で区切った数値を入力するか、Excel の列をそのまま貼り付けます。「読み取った値」の数で、正しく認識されたかを確認できます。
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標本か母集団かを選ぶ
既定の「標本 (n − 1)」はデータが一部の抜き出しのとき、「母集団 (n)」はすべての値がそろっているときに選びます。大きく表示される結果と変動係数がこの選択に従います。
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統計量を読む
標準偏差が分散とともに大きく表示され、その下のカードにほかの統計量が並びます。箱ひげ図には各値・中央値・四分位数・平均・± 1標準偏差の帯が描かれます。
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計算過程を確認してコピー
「計算過程(ステップごと)」を開くと、各値の偏差とその2乗を表で確認できます。「コピー」「すべてコピー」で結果を持ち出せます。
標準偏差の求め方と公式
まず平均 x̄ = Σx ÷ n を求め、次に偏差平方和 S = Σ(x − x̄)² を計算します。母分散は σ² = S ÷ n、不偏分散は s² = S ÷ (n − 1) です。標準偏差は分散の平方根で、σ = √σ²、s = √s² となります。
2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9 の場合、x̄ = 40 ÷ 8 = 5、偏差は −3, −1, −1, −1, 0, 0, 2, 4、その2乗は 9, 1, 1, 1, 0, 0, 4, 16 なので S = 32、σ² = 32 ÷ 8 = 4、σ = 2、s² = 32 ÷ 7 ≈ 4.571429、s ≈ 2.13809 です。
- x:各データの値、n:データの個数(データの大きさ)。
- x̄(エックスバー):算術平均、Σ(シグマ):「総和」を表す記号。
- x − x̄:平均からの偏差。偏差の合計は常に0になるため、2乗してから足し合わせます。
- σ² と σ:母分散と母標準偏差(n で割る)。Excel の VAR.P と STDEV.P。
- s² と s:不偏分散と不偏標準偏差(n − 1 で割る、ベッセルの補正)。Excel の VAR.S と STDEV.S。
- Q1・Q3:第1・第3四分位数(線形補間による包含法、QUARTILE.INC)。IQR = Q3 − Q1 が四分位範囲です。
- CV = s ÷ |x̄| × 100(母集団モードでは σ)と 標準誤差 = s ÷ √n。
標準偏差の計算例
各行は上のツールで計算した値で、画面と同じく小数第6位までで丸めています。
| データ | n | 平均 x̄ | 中央値 | s (n − 1) | σ (n) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9 | 8 | 5 | 4.5 | 2.13809 | 2 |
| 10, 12, 23, 23, 16, 23, 21, 16 | 8 | 18 | 18.5 | 5.237229 | 4.898979 |
| 1,5; 2,5; 3,5(小数カンマ) | 3 | 2.5 | 2.5 | 1 | 0.816497 |
| 12, 15, 9, 18, 11 | 5 | 13 | 12 | 3.535534 | 3.162278 |
| −3, 0, 2, 5, 1 | 5 | 1 | 1 | 2.915476 | 2.607681 |
| 7 | 1 | 7 | 7 | 定義なし | 0 |
1つ目のデータ:最頻値 4(度数 3)、Q1 = 4、Q3 = 5.5、範囲 7、CV 42.76%。
標準偏差の活用例
- テストの成績:平均が同じ2クラスのばらつきを比べたり、偏差値(50 + 10 × (x − x̄) ÷ σ)を計算したりできます。
- 理科の実験:繰り返し測定の結果を x̄ ± s の形で、平均の精度を示したいときは x̄ ± s ÷ √n(標準誤差)の形で報告します。
- 品質管理:製品寸法のばらつきを監視し、シューハート管理図のように x̄ ± 3σ に管理限界を設定します。
- 投資・金融:株式や投資信託のボラティリティ(リスク)は、リターンの標準偏差(通常は年率換算)です。
- スポーツ・健康・気象:ランニングタイムの安定度、血糖値や日々の気温の変動を把握できます。
よくある間違い
- 標本データに σ(n で割る)を使う:とくに n が小さいとき、ばらつきを過小評価します。
- 高校の教科書の「分散」と Excel の VAR.S を混同する:教科書の分散は n で割る(このツールの σ²)ので、不偏分散 s² とは値が異なります。
- 標準偏差と標準誤差を取り違える:前者はデータのばらつき、後者は平均の精度を表し、後者は n が増えると小さくなります。
- 分散を標準偏差と同じ感覚で比べる:分散の単位は2乗(cm²、円²)で、データと同じ単位で読めるのは標準偏差だけです。
- 桁区切りのカンマ付きの数値を貼り付ける:「1,234.5」は 1 と 234.5 の2つの値に分かれてしまうので、先に桁区切りを削除してください。
すべての計算はブラウザ内で行われ、データが送信・保存されることはありません。結果は小数第6位まで、1未満の値は有効数字6桁に丸めて表示します(内部は倍精度浮動小数点で、有効数字は約15桁)。四分位数は QUARTILE.INC 方式のため、教科書によっては少し異なる値になります。データが1つだけのとき、不偏標準偏差は定義されません。
よくある質問
不偏標準偏差と母標準偏差、どちらを使う?
データがより大きな集団の一部(学校全体のうちの30人、製造ロットから抜き取った20個など)なら、n − 1 で割る不偏標準偏差 s を使います。調べたい集団のすべての値がそろっている場合だけ、n で割る母標準偏差 σ を使います。2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9 では s ≈ 2.13809、σ = 2 です。
なぜ n − 1 で割るの?
ベッセルの補正と呼ばれます。平均 x̄ を同じデータから求めるため、x̄ からの偏差の2乗和は、母集団の真の平均からの偏差の2乗和以下になり、n で割ると分散を過小評価してしまいます。また偏差の合計は必ず0になるので、自由に動ける偏差は n − 1 個(自由度)しかありません。n − 1 で割ると偏りのない不偏分散になり、8個のデータなら分散が 8/7 ≈ 1.143 倍になって、4 が 4.571429 になります。なお、その平方根である不偏標準偏差 s には、名前に反してわずかな偏りが残りますが、標準的な推定値として広く使われています。
標準偏差はどう解釈する?
データが平均から典型的にどれだけ離れているかを、元のデータと同じ単位で表します。値が大きいほど、データのばらつきが大きいことを意味します。ほぼ正規分布のデータなら、平均 ± 1標準偏差に約68%、± 2標準偏差に約95%、± 3標準偏差に約99.7%の値が入ります。偏差値は平均50・標準偏差10なので、受験者の約3人に2人が偏差値40から60の間に入ります。
Excel や関数電卓で標準偏差を求めるには?
Excel では、不偏標準偏差 s は =STDEV.S(A2:A21)、母標準偏差 σ は =STDEV.P(A2:A21) で求められ、分散はそれぞれ VAR.S と VAR.P です。関数電卓では一般に σx が母標準偏差、sx が不偏標準偏差を表します。結果を確かめたいときは、列をここに貼り付けてください。1行に1つの値でも、カンマ・スペース・タブ・セミコロン区切りでも読み取れます。ヨーロッパ式の小数カンマにも対応し、「1,5; 2,5; 3,5」は 1.5、2.5、3.5(平均 2.5、s = 1)として読み、ほかの区切りがない「1,2,3」は3つの値になります。
四分位数はどの方法で計算している?
Excel の QUARTILE.INC や NumPy の既定と同じ、線形補間による包含法です。Q1 は並べ替えたデータの 1 + 0.25 × (n − 1) 番目、Q3 は 1 + 0.75 × (n − 1) 番目の位置にあります。2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9 なら Q1 = 4、Q3 = 5.5 です。高校数学の教科書では前半・後半それぞれの中央値をとる方法が一般的で、この例では Q3 = 6 になるため、ツールによって値が少し違うのは正常です。
変動係数と標準誤差は何に使う?
変動係数(CV = 標準偏差 ÷ |平均| × 100)はばらつきをパーセントで表し、単位や大きさの異なるデータ同士を比べられます。例のデータ(平均 5、s ≈ 2.13809)では、CV = 2.13809 ÷ 5 ≈ 42.76% です。平均の標準誤差(s ÷ √n)は平均そのものの精度を示し、2.13809 ÷ √8 ≈ 0.755929 です。平均が0のときは CV に意味がないため表示しません。